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TOEIC900点越え、その先の高みを目指す上級英語力をつける

TOEIC900点を達成すると、世間的には英語ができる人として評価されるようになるようです。純ジャパとしては一つの区切り、目標になる水準と言って良いでしょう。

とはいえ、TOEICはビジネス英語に特化した試験なので、TOEFLや英検と比べるとスコアを上げやすいと思います。試験対策もやりやすいので、TOEICのスコアは高いけど、いざ実際に英語を使った仕事となると何の役にも立てなかった、などという経験をする人も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

英語の上級者レベルを超えてスキルを向上させるには、話す、聞く、読む、書くすべての要素を一層洗練させる必要があります。

継続して英語力を高めるために私が取り組んでいることを記録も兼ねて紹介しておきます。

 

多読、乱読

新聞、雑誌、文学、学術論文などメディアの種類は問わない。一文ずつ全ての意味を理解しようとする「精読」とは異なり、多読では短時間で大量の英文を読むこと、乱読ではジャンルやスタイルにとらわれず、自分が普段読まないような分野にも視野を広げる。

多読では小説、特に自分が好きなミステリーのジャンルを、乱読では「Time」などの雑誌や「FT」「WSJ」などの新聞を中心に、ざっと眺めることが多い。意味がわからない単語があってもいちいち辞書を引くことはせず、調べるとしてもキーワードのみにとどめて、量をこなすことを優先する。

Everandというアプリで(上限あるが)読み放題+聴き放題が便利。Kindle+Audibleでも良いがEverandだけでも相当の量の英語に触れることができる。

Everand (旧Scribd)

https://www.everand.com/g/aka628

 

語彙の拡充

日常会話や文章で高度な語彙を学び、使う。

上級の単語集に取り組む他、語源から学べるような参考書を使用する。

最近の単語集は音声アプリとセットになっていることも多く、通勤中やジョギング中など、隙間時間に耳から学ぶことも。

 

英検1級 文で覚える単熟語 4訂版

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知識と文脈で深める 上級英単語 LOGOPHILIA ロゴフィリア

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究極の英単語プレミアム Vol.1 究極の英単語プレミアムシリーズ

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ネイティブスピードに耳を慣らす

Podcast、TEDトークなどを活用。ネイティブの発話スピードに慣れるだけでなく、アクセント、相槌の打ち方なども参考になる。

仕事で英語を使う、という目的がはっきりしているのであれば、普段仕事で関わりのある人が話しているのを録音させてもらって、その人のアクセントに慣れるのは短期的に効果が上がるのでオススメ。録音にはOtterを使うとテキストでの書き起こしもできるのが良い。

Otter

https://otter.ai/jp

 

発音の練習

難しい音やイントネーションのパターンをマスターする。

ELSAなどのアプリを使うのが有効。

英会話教室やオンライン英会話をやっているのであれば、先生からのフィードバックをもらうのが良い。英語講師も、自分が理解できてしまうと曖昧な発音をいちいち直さずに流してしまうので、発音がおかしいところを直してほしいという意思を明確にすること。

 

Elsa Speak

https://jp.elsaspeak.com/

 

 

文法チェックツールを活用

MS Wordの校正アプリもだいぶ改善した。DeepL Write、Grammerlyなどの文法チェックアプリを使って多彩な表現を身につける。

日本語をDeepLで翻訳してから、DeepL Write やGrammerlyでブラッシュアップさせる技をよく使う。英訳しやすい日本語になるよう工夫することがポイント。出力される英語が言いたいことを言えているのか判断できるレベルにない人にはお勧めしない。

 

DeepL Write

https://www.deepl.com/write

Grammerly

https://app.grammarly.com/

Never Let Me Goを読みました

カズオ・イシグロの小説を読むのは実は初めて

積読で何冊か持っていますが。

「Never Let Me Go」は、寄宿学校で育ったKathyを語り手とし、彼女の友人RuthとTommyを中心とした物語です。彼らは見た目は普通の人間ですが、実はクローン人間であり、将来的には臓器の寄付者として使われる運命にあります。

Kathyの葛藤や友情、愛に対する心の動きに焦点を当てながら、クローンとしての不条理な運命に翻弄される人生を描きます。淡々とした筆致ながら、繊細な人物描写と感情に対する洞察に心が揺さぶられます。

この小説は、クローン人間という架空の存在を扱っているためSFに分類されることもあるようですが、近年の科学の発展を考慮すると近い将来に技術的にはこうしたことも可能になるのではと思わされます。科学の発展と人権といった問題はこの物語の根底に流れるテーマであり、人間の尊厳や倫理について考えさせられます。自分がKathyらと同じ立場だったら、あるいは学校の先生であったら、あるいは(本作では具体的に出てきませんが)臓器の提供を受ける立場の人間だったら・・・。

「Never Let Me Go」で語られるのは、人間の存在と喪失、愛と犠牲についてであり、ただ楽しんで読むというよりも深く考えさせられるものでした。読み込んで読者同士で議論するのもいいのではないでしょうか。

英語はそれほど難しくないが・・・

イシグロの文章は比較的簡潔で、特別難しい文法や語彙は出てこなかったように思います。ただ、「Never Let Me Go」ではSF的な物語の背景や設定を理解するためには、文脈をしっかり把握することが必要です。簡単な単語でもクローンと臓器の寄付の設定を理解できないと、???となりながら読み進めることになります。Carer、Doner、Guardian、Completeといった一般的な言葉でもこの物語の文脈で理解しないと話についていけなくなるので要注意です。

The Stranger in the Lifeboat 読みました

The Stranger in the Lifeboat / Mitch Albom 

大富豪の豪華客船が航行中に爆発し大破、なんとか逃れて救命ボートに乗った10人の前に「神」を名乗る青年が現れた。彼は、自分のことを信じれば救われるというが・・・・

“Are you here to save us?” His voice softened. “I can only do that,” he said, “when everyone here believes I am who I say I am.”

 

I can only do that when everyone here believes I am who I say I am.

 

真水、食料が不足し、希望も尽きそうになる環境で現れた「神」は本物なのか、悪質な悪戯なのか。

 

物語は乗組員の一人Benjiが書いた記録である海の章、救命ボートが流れ着いた島の捜査官Jartyの語る陸の章、そしてこの事故の前後の出来事を報じるメディアの3つの時期も場所も異なる視点で展開される。

読者は「神」は何者なのか、信じるべきなのか、そもそも信じることとは何なのか、といったことをずっと考えながら読み進めることになる。

 

救命ボートに残された10人は年齢も経歴もバラバラで、元々の豪華客船のオーナーもいれば、起業家、スポーツ選手、船で働く従業員、一言も話さない少女、神を名乗る青年もいる。

一部を除く一人一人の素性、なぜ客船に乗ることになったのかはBenjiの書いたノートとメディアの章を通じて明らかになる。読者はJartyと一緒にBenjiのノートを通じて、客船で、そして救命ボートで何が起こったのかを追体験することになる。

 

読ませる話であり、文章であるとは思うけれども、宗教的なバックグラウンドが違うと感じ方も違うのではないだろうか。「神」の話ではなくミステリ、サスペンス的な展開を期待して読んだのでそうした部分では肩透かしをくらった気持ちでもある。

“The distance between death and life is not as great as you imagine.” “Really?” Yannis turned his way. “Then why don’t people come back to Earth after they die?” The stranger smiled. “Why would they want to?”

 

“Worry is something you create.” “Why would we create worry?” “To fill a void.” “A void of what?” “Faith.”

 

“People are slowly dying everywhere,” he said. “They are also continuously living. Every moment they draw breath, they can find the glory I put here on Earth, if they look for it.”

 

“When someone passes, Benjamin, people always ask, ‘Why did God take them?’ A better question would be ‘Why did God give them to us?’ What did we do to deserve their love, their joy, the sweet moments we shared? Didn’t you have such moments with Annabelle?”

 

 

 

Milkman読了できませんでした

Milkman by Anna Burns

2018年のブッカー賞受賞作

 

文学賞受賞ということで面白いに違いないと思って張り切って読み始めたのだけれど・・・

18歳の女性が謎の年上男性Milkmanになぜか気に入られてしまい、彼と付き合っていると噂される。

彼女の属するコミュニティではそうした話に尾鰭がついて事実のように扱われてしまう。

作者の出身地である北アイルランド問題が物語の背景にあるそうだけれど、そうした歴史を知っているかいないに関わらず、文章が難解で途中で挫折した。Kindle版で19%、第3章のあたりまで。

 

1文が長い上に独特の語り口のせいでかなり読みにくい英語になっている、と思う。

これをしっかり読めるレベルにはまだ達していないんだなとショックであり、悔しいところ。

この感じだと日本語で同じような文章を読んだとしてもスッとは理解できないと思うので、英語力というよりも言語を超えた読解力のなさという課題が浮き彫りになった。

 

At the time, age eighteen, having been brought up in a hair-trigger society where the ground rules were – if no physically violent touch was being laid upon you, and no outright verbal insults were being levelled at you, and no taunting looks in the vicinity either, then nothing was happening, so how could you be under attack from something that wasn’t there? At eighteen I had no proper understanding of the ways that constituted encroachment. I had a feeling for them, an intuition, a sense of repugnance for some situations and some people, but I did not know intuition and repugnance counted, did not know I had a right not to like, not to have to put up with, anybody and everybody coming near. (Kindle版6ページより引用)

 

‘Extraordinary!’ someone then said – which meant it must have been for that was not a word ever to be used in our lexicon. As with others like it – ‘marvellous!’, ‘tremendous!’, ‘stupendous!’, ‘stunning!’, ‘sensational!’, ‘topper!’, ‘super!’, ‘crikey!’, ‘let’s!’, ‘smashing!’, ‘diamondiferous!’, ‘bizarre!’, ‘exceedingly!’ – even ‘however’ and ‘indeed’ though I myself and wee sisters said ‘however’ and ‘indeed’ – it was an emotional word, too much of a colorant, too high-flying, too posturing; basically it was of that quintessential ‘over the water’ language, with ‘quintessential’ being another of those words. (Kindle版20ページより引用)

 

ずっとこんな調子でついていくのが大変。

登場人物に名前がついていない (Milkman、Maybe-boyfriendのように呼ばれる) のも人物に感情移入することを妨げた。でもこれは当事者である語り手もどこかで第三者的というか、人ごとのように語っているようでもあり、この小説のどこか不気味な雰囲気に寄与しているように思った。

いつか力をつけてまた読む、という日が来るだろうか。

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Fuzzy Mud by Louis Sachar 読みました

Fuzzy Mud by Louis Sachar 

 

5年生のTamayaと7年生のMarshallは近所に住んでいるので毎日一緒に登下校している。ある日いじめっ子のChadが、帰り道で待ち伏せしていることを知ったMarshallは、迂回して森を通って帰ろうとする。TamayaはMarshallと一緒に帰るように言われているので、渋々Marshallを追って森の中へ。

彼らはすぐに道に迷った上、後ろからはChadが追いかけてくる。咄嗟の機転でChadを振り切って帰宅したTamayaだったが、右手の様子が何かおかしい。翌日には右手の症状は悪化。一方、Chadが行方不明になっていて学校は騒ぎに。Tamayaには何が起こったのか、そしてChadとはどんな関係が・・・。

 

カテゴリとしては子ども〜ヤングアダルトという区分に入るお話で、主人公たちの冒険と成長がメインテーマですが、コロナ禍を経てみると感染症小説としても読めて別角度からも考えさせられる。

対象年齢が低いので英語は平易で、お話も複雑ではないのでとても読みやすいので多読向き。米国の学校生活や価値観といったものも垣間見れる。

 

勇敢であることと蛮勇とは違う。

Ms. Filbert had once said that courage just meant pretending to be brave. “After all, if you’re not scared, then there’s nothing to be brave about, is there?”

 

企業理念とかでもありがちな、日本語化しづらい価値観。

she had to memorize a list of ten virtues: charity, cleanliness, courage, empathy, grace, humility, integrity, patience, prudence, and temperance.

 

無遅刻無欠席は米国でも表彰されたりするのか。

She had never missed a day of school. At the end of each school year, she’d been presented with a certificate for perfect attendance.

 

I Let You Goを読みました:

I Let You Go by Clare Mackintosh

 

どんなお話か

英国Bristolで5歳の少年Jacobが学校からの帰宅途中に、母親の眼の前でひき逃げにあって死亡した。

Jennaの人生は一瞬にして悪夢に変わった。彼女は再び前に進むため、わずかな望みを託して彼女のことを誰も知らない土地ーウェールズの沿岸地方にある人里離れたコテージーでの暮らしを始める。周りの人の親切に恵まれ少しずつ普通の暮らしを取り戻していくように見えたJennaだが、事故の記憶が彼女を苦しめる・・・

Jennaの視点と事故を捜査する刑事Rayの視点が交互に現れて話は進む。二人の物語が交錯するとき物語は全く新たな展開を見せる。

 

親として

図らずもまたしても親とは、がテーマの一つである作品。

たった一人の息子を轢き逃げで亡くしてしまった母親の気持ちとは。思春期を迎えて学校でうまくいっていないように見える息子に親はどう向き合えば良いか。

少し踏み込むとすぐにネタバレになってしまうので注意が必要だけれども、私はしっかりと作者の思惑にハマってしまったのだと思う。

 

英語について

Kindle版 で385ページなので長すぎず、英語も平易で読みやすい。Audibleだと男性・女性でナレーションが別れるし、出身の違いによるアクセントの違いもわかりやすいので勉強になる。 

 

我が家の子どもがまさにこういう感じなので覚えておきたい表現

He never stops moving; full of energy from the second he wakes until the moment his head hits the pillow. Always jumping, always running. (Kindle版2ページより引用)

 

これは自分もそうなので、いつか英語で使ってみたいところ。そもそも歳をとると誰かに褒められるみたいなことも減ってきますが。

I’ve never been good at receiving praise. (67ページより引用)

 

ミステリでよく出てきそうな表現。

The evidence told him one thing; his instinct was telling him another. (191ページより引用)

 

この’It would be enough...’みたいな文章は付き合いたてとかに言いがちではないでしょうか。ちょっと重いというか怖いと感じる人もいそう。いずれにしても月日とともにそうも言ってられなくなります。

It would be enough just to wake up with you every morning, and have you here when I get home from work (209ページより引用)

 

Hamnet読みました:シェイクスピアの時代を色鮮やかに描く

Hamnet by Maggie O’Farrell

 

Winner of the Women's Prize for Fiction 2020 (English Edition)

 

1596年の夏、英ストラトフォードに住む少女が突然の高熱に襲われる。彼女の双子の兄Hamnetは助けを求めて駆け回る。何故誰も家にいないのか。

二人の母Agnesは実家でハーブの世話をしていた。父親は遠くロンドンに住んでいる。両親ともにHamnetにこれから起こることを想像すらできないでいた。

 

物語の中心人物はAgnes。彼女はかのウィリアム・シェイクスピアの妻。彼女とシェイクスピアがどのように結婚に至り、Hamnetを含む3人の子どもを産み育て、家庭を築いてきたか、なぜシェイクスピアはロンドンに行くことになったのかを振り返る過去のパートと、HamnetそしてAgnesの視点から描く現在のパートが交互に展開される。

繊細かつ美しい描写に、シェイクスピアの生きた時代は本当にこういうふうだったんだろうなと感じさせる力強さがある。英語で読んでいても、文章がカラフルなのだけれど、浮かぶ情景はどこかセピア色になっているように感じる不思議。

シェイクスピアの家族については不明なことも多く、本書のエピソードも作者の想像によるところが大きいとのこと。これほどの解像度で400年

 

前の暮らしを想像・創造し、文章にできることに感服。

もちろん英語なので日本語を味わうのとは違うけれど、自分の拙い英語力でも感じるものがあった。

短くはない作品だけれども、シェイクスピアについて詳しくなって再読したら新たな発見がありそうで、英語学習の面からもモチベーションアップにつながった。