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Never Let Me Goを読みました

カズオ・イシグロの小説を読むのは実は初めて

積読で何冊か持っていますが。

「Never Let Me Go」は、寄宿学校で育ったKathyを語り手とし、彼女の友人RuthとTommyを中心とした物語です。彼らは見た目は普通の人間ですが、実はクローン人間であり、将来的には臓器の寄付者として使われる運命にあります。

Kathyの葛藤や友情、愛に対する心の動きに焦点を当てながら、クローンとしての不条理な運命に翻弄される人生を描きます。淡々とした筆致ながら、繊細な人物描写と感情に対する洞察に心が揺さぶられます。

この小説は、クローン人間という架空の存在を扱っているためSFに分類されることもあるようですが、近年の科学の発展を考慮すると近い将来に技術的にはこうしたことも可能になるのではと思わされます。科学の発展と人権といった問題はこの物語の根底に流れるテーマであり、人間の尊厳や倫理について考えさせられます。自分がKathyらと同じ立場だったら、あるいは学校の先生であったら、あるいは(本作では具体的に出てきませんが)臓器の提供を受ける立場の人間だったら・・・。

「Never Let Me Go」で語られるのは、人間の存在と喪失、愛と犠牲についてであり、ただ楽しんで読むというよりも深く考えさせられるものでした。読み込んで読者同士で議論するのもいいのではないでしょうか。

英語はそれほど難しくないが・・・

イシグロの文章は比較的簡潔で、特別難しい文法や語彙は出てこなかったように思います。ただ、「Never Let Me Go」ではSF的な物語の背景や設定を理解するためには、文脈をしっかり把握することが必要です。簡単な単語でもクローンと臓器の寄付の設定を理解できないと、???となりながら読み進めることになります。Carer、Doner、Guardian、Completeといった一般的な言葉でもこの物語の文脈で理解しないと話についていけなくなるので要注意です。